納税資金の確保の観点からの金庫株とみなし配当課税

 

景気が堅調にある中で、中小企業も堅調な企業も増えてきています。

金庫株は事業承継と株式の現金化により納税資金が確保で、事業承継対策としても有効です。

 

金庫株とは

株主総会で決定します。

・金庫株は資本準備金や利益剰余金等の分配可能額の範囲内で取得でき、分配可能額を超えて取得したときは取締役にてん補責任が発生します。

・原則的な課税関係

 配当所得(みなし配当所得)

  =譲渡価額-譲渡した株式に対応する資本金等の額

 ⇒超過累進課税率による総合課税

 譲渡損益=譲渡した株式に対応する資本金等の額ー取得価額

 ⇒20.315%の申告分離課税

  

 ・・・なんかわかりにくいですよね資本金等は資本金+資本準備金ー自己株式とほぼイコールですB/Sからイメージすると、譲渡価額のうち資本金+資本準備金(自己株式控除後)を超えた分がみなし配当として累進課税、資本金等までは取得価額との差額が譲渡損益として20.315%の申告分離課税だということですね。

 

なお、相続等により取得した者が相続開始の日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに、譲渡した場合はみなし配当課税は適用されず、すべて譲渡所得として申告分離が課税されます。

 

(当然、非上場株式等を金庫株ではなく個人や発行法人以外の法人に譲渡した場合は20.315%の申告分離課税となります。)

 

資本金および会社が稼いできた利益分を現金で株主に還元するというのは至極全うな制度といえますが、やりすぎると自己資本の減額も大きくなり、会社そのものの体力に影響を与えますので、そのバランスはよく検討しないといけないですね。

 

事業承継税制について

今回は何かと話題の事業承継税制について触れていきたいと思います。

事業承継は中小企業にとって大きな課題です。

このような課題を解決する一助となるべく税制も改正されていますが、課題はまだまだあります。

 

相続税の猶予概要(30年改正)

1.相続税の100%を相続人の死亡時まで猶予(以前は80%)

2.被相続人の要件

  代表者になったことがあること

  同族関係者の議決権総数50%超かつ、経営承継相続人をのぞき筆頭株主であること

3.相続人の要件(親族以外も可)

  後継者が代表者

  同族関係者の議決権総数50%超かつ、筆頭株主となること

4.事業承継要件

  相続開始後5年間

  ・後継者が代表者

  ・雇用の8割維持

  ・後継者の株式継続保有

  ・5年間は毎年、5年経過後は3年毎に継続届出書の提出必要

 

贈与税の猶予要件(30年改正)

1.贈与税の100%を贈与者の死亡時まで猶予

2.被相続人の要件

  贈与時に代表権が無いこと

  同族関係者の議決権総数50%超かつ、経営承継相続人をのぞき筆頭株主であること

3.後継者の要件(親族以外も可)

  後継者が代表者

  20歳以上でありかつ、役員就任から3年以上経過

  同族関係者の議決権総数50%超かつ、筆頭株主となること

4.事業承継要件

  相続税と同様

 

いかがでしょうか?

 

親族以外にも制度適用されたことなど、画期的な部分ではありますが、使い勝手という意味では今一歩です。

 

相続税贈与税はほぼ同じです。

 

これらの制度はあくまで猶予で後継者が亡くなったときや三代目が再度納税猶予を行ったときに一代目の税が免除されることに留意しましょう。

 

 

 

 

  

  

  

FP1級実技試験のポイント2

 

今回はFP1級実技試験のうち不動産の設問についてのポイントについて少し書いていきます。

 

不動産についての問題は若干バリエーションがあり、相続・事業承継よりは絞りにくいですが、ここは押さえておくべきでしょうというポイントをいくつか挙げたいと思います。

 

① FPが自ら調べる情報・・・不動産についての相談で顧客ではなく自らが調べる情報。顧客から聞くべき情報は設問によってかなり異なるので、ここでは省きます。

 ・現地確認

 ・権利関係・・・登記事項証明書、構図

 ・市場調査・・・売買市場の動向等

 ・税務関係・・・譲渡所得の特例等

 ・開発行為の審査基準

 ・公法上の規制確認・・・都市計画法建築基準法

 

② 事案に関する専門職業家

 ・弁護士、司法書士行政書士不動産鑑定士、税理士、測量士(地積、境界確定)、土地家屋調査士(地積の更正や変更の登記)

 

簡単ですが、まずこれらは押さえておきましょう。

これらを押さえた上で設問を解き、慣れていくといいと思います。

合格はすぐ目の前ですね。

 

 

FP1級実技試験のポイント

 

もうすぐFP1級実技試験となりますね。

6月実施されますが、受験日は受験者によって若干異なるようです。

実技試験は難関試験の学科試験に比べ、合格率80%といわれ幾分気持ちが楽です。

実技試験は不動産と税務に関するものであり、パターンも大体決まっているようです。

 

今日は設問のうち、税務相談について記載します。

設問は相続・事業承継に関する設問になります。

ポイントをいくつか羅列していきます。

 

①家族間の遺産分割争いの防止

 申告期限までに遺産分割協議がととなわかった場合の相続の申告

      ・・・法定相続分で相続したと仮定し納税を行う必要がある。

 遺言書の作成

 代償分割

 生命保険の活用

 

相続税の軽減

 小規模宅地等の評価減の有効活用

 生前贈与の実行

 死亡保険金の非課税枠の活用

 

③自社株の譲渡、現金化

 M&A

 役員退職金の支払

 金庫株の活用

 

FP1級実技試験にかかる税務相談のポイントはこんなところだと思います。

 

そうだった、FPとしての職業倫理もほぼ聞かれるといっていいでしょう。

試験で問われる職業倫理は6つあります。

これを僕は「ジ・シュ・コ・セ・イ・コ」(自主個性コ)と語呂で憶えています。

 自己啓発

 守秘義務

 顧客利益の優先

 説明義務

 インフォームド・コンセプト・・・FPと顧客との情報共有(顧客の理解)

 コンプライアンス・・・民法消費者契約法金融商品取引法金融商品販売法など

 

大まかにこれらがポイントです。

次回はもう一つの設問の不動産について書きたいと思います。

 

 

 

 

 

 

生前贈与3

 

今日は生前贈与についての3回目です。

子や孫への贈与制度についての贈与として、結婚・子育て資金、教育資金贈与について紹介したいと思います。

 

①結婚・子育て資金贈与

 受贈者 20歳以上50歳未満の個人

 贈与者 受贈者の直系尊属

 限度額 受贈者1人につき1000万円(結婚費用300万円)

 使途  結婚・子育て資金

 終了事由 ①受贈者が50歳に達したとき、②受贈者が死亡したとき等

 終了時の課税 ①の事由の場合・・・残額に贈与税課税

        ②の事由の場合・・・残額があっても課税なし

 贈与者死亡時の課税 贈与者死亡時の残額を相続財産に加算

                 (ただし2割加算対象外)

 

②教育資金贈与

 受贈者 30歳未満の個人

 贈与者 受贈者の直系尊属

 限度額 受贈者1人につき1500万円(学校等以外500万円)

 使途  教育資金

 終了事由 ①受贈者が30歳に達したとき、②受贈者が死亡したとき等

 終了時の課税 ①の事由の場合・・・残額に贈与税課税

        ②の事由の場合・・・残額があっても課税なし

 贈与者死亡時の課税 無し

 

 

 いかがでしょうか?資金使途に応じて贈与税の非課税枠は拡大されています。特に教育資金贈与の金額はなかなかですよね。受贈者1人あたり1500万円ということで、お孫さん一人あたり1500万円贈与されるおじいちゃんもいらっしゃるようです。ちなみに子育て資金とは不妊治療や妊婦健診、分娩費、産後ケア、子の医療費、幼稚園・保育園等の保育料等が該当します。

 

ただ、この制度は使用する際に領収書等を金融機関に提出する必要があり事務が煩雑です。金融機関もメリットなく、そんなに積極的ではありません。

しかし、合法的にしっかり孫に遺すことのできる制度ですから、検討しがいはあるはずです。 

 

税理士試験初受験

今年の税理士試験は簿記、財務諸表論を受験します。

ただ、僕が勉強開始したのは5月から。財務の素人ではありませんが、8月は間に合いません。今回は事前練習です。来年の8月に2科目合格します。

同時並行でブログやSNSで発信していきたいです。

当然、本業もありますから相当なイバラの道かもしれません。

 

人と同じことをしていては道は開けません。苦しくても自分の道を見つけなければなりません。

さあ、頑張るぞ❗😆👍❤

 

生前贈与の手法2

 

今回は住宅資金等資金の贈与について紹介します。

 

これは僕自身も利用した制度で、

受贈者が贈与を受けたときに日本国内に住所を有するなど一定要件を満たした個人で、贈与年の1月1日において20歳以上である者が対象です。

また、合計所得額が2000万円以下のものに限られます。

贈与者は受贈者の直系尊属です。

適用対象の家屋は床面積が50~240㎡で床面積の2分の1がもっぱら居住用であること、中古住宅の場合は建築後20年以内または一定の耐震基準が備えるもの等が要件です。

 

消費税が10%以外の場合で東日本大震災の被災者以外の方が平成28年1月~平成33年3月に住宅取得契約を締結した場合は一定の省エネ・耐震性を備えた良質な住宅用家屋なら1200万円、それ以外は700万円が非課税となります。(それ以外の場合もしっかり取り決められています。)

 

ワタクシも親から幾分かありがたく贈与いただきました。

これも最近は利用されることの多い制度だと思います。